第四章
キーラは次の瞬間宙に高く浮いていた。周囲に螺旋の羽を纏い全てを見下ろす。
「神々よ。貴殿らの功績は尊敬に値しよう」
語る最中螺旋の羽はゆっくりと羽軸を広げて。
「──しかしながら。羽化すらしていない蛹にどうしてこの世界を救えようか」
キーラはクレイジーに視線を映した。
「破壊神」
思い当たる節があったのか否か──兎角引き金となったのであろうクレイジーは地面を蹴って飛び出した。左手を後方へ伸ばせば瞬時に出現した赤い魔法陣の中心からエネルギーピラーが現れて。それをすかさず引き摺り出して目前にまで迫ったキーラに正面から殴り込むも当然のように透明な防壁がそれを阻む。
「何が分かる!」
「理解しているとも」
キーラは動じる様子なく微笑を浮かべる。
「兄弟愛の何と美しい事か」
「黙れッ!」
直後クレイジーの背後に幾つもの魔法陣が展開したと思うとその中心からそれぞれ赤黒い光を宿した矢が連続して放たれた。爆発を起こしキーラの姿が煙に巻かれる中クレイジーは後方へ退避したが直撃したのは防壁か本体か。
「気難しい方だ」
当然後者である筈もなく。
「やはり貴殿の意見も聞かなくては」
視線を向けられた先にはマスターが居た。だがしかし彼は動じないままその真横を過ぎて飛び出していったのは黒の閃光。
「だから」
スピカは目前にまで迫ると脚に電気を纏って。
「人使いが荒いって言ってんだろッ!」