第四章
時折頭から抜け落ちてしまうがそういえば彼はならず者ばかりが集うスターウルフのリーダーだった。とはいえ彼の普段の振る舞いを思うと相手が誰でどんな立場であれ情報を得た時点で身勝手に行動を起こしそうなものだったが……
「ありがとう」
最初の頃とは違うのだ。ルーティが微笑するとウルフは案の定そっぽを向いて。
次の瞬間だった。
「──!」
和やかな雰囲気を帳消しにするかのように──それは眩いばかりの光を解き放つ。黒煙を吹き飛ばし一帯を白に満たしたがゆっくりと収縮。光が収まる頃、ルーティ含む一行はそろそろと瞼を開いてそれの正体を視界に捉えた。
「ようやく」
リドリーは待ち侘びたように笑い声を上げる。
「お目覚めのようだな」
それは。
閉ざしていた瞼をゆっくりと開く。
「光の化身──キーラ!」
長い睫毛の下から覗かせた双眸は淡い空の色。白金の髪は美しく煌めきを施しその髪の内側に極彩色の世界を揺らめかせる。頭には羽が生えており頭頂部に浮かぶ輪と思しきものがそれの正体を露わにしている様。白いゆったりとした衣を見に纏い変わらず螺旋の羽を従えて空中に佇むその姿は。
「……神様みたい」
思わず口走ったのはピチカだった。今や神力を失った双子の神が潰すべく探し求めていたそれをそう呼ぶのは屈辱とも言えるかもしれないが誰も否定は出来なかった。
それほど。あまりにも──神々しくて。