第二章-前編-
次がBブロック最後の試合となる。これまで監督を務めていたリンクも今回は参加者となるため一時的に監督役をシュルクに預けた。アップデートのお陰で不具合に見舞われないか不安な面は確かにあるが、彼なら技術の経験が浅いというわけでもないので上手いこと対応してくれることだろう。
「頑張ってね!」
ピチカがエールを送るとトゥーンは照れ臭そうに頬を人差し指で掻いて。
「絶対に倒してやるからな!」
意気込むジュニアに、はいはいとマリオは息をついてあしらう。
「……まだ、ここにいたのか」
ルーティが振り返るとそこにはウルフが立っていた。
「なかなか目が離せなくて」
「さっさと飯を済ませてこい」
もうそんな時間か。時計を見るのもすっかり忘れていた。
「こ、この試合が終わったらね!」
言ってルーティはモニターの画面にきらきらとした眼差しを向ける。
ウルフは呆れたように小さく溜め息をついた後で注目を変えた。機械の前に立ってリンクから説明を受けながら操作をしているのはシュルクという男だ。
機械についてはよく分からないが。リンクが離れた後、入れ替わるようにマークとルフレが機械に近付いた。揃って物珍しそうに観察している。
やれやれ。
どいつもこいつも餓鬼じゃねえんだから……