第二章-前編-



数の暴力といったものがあるように。戦いにおいては、その人その人の戦術にもよるが大抵のこと数があって困ることはない。互いの隙を縫うように技を繰り出し、助け合う。一方がやられればその隙に技を打ち込む。基本的に損は無いだろう。


だがしかし。

時として才能は数に勝る。


――第七回戦。


「うわあっ!」

場外に投げ出されるパートナーを振り返ったが直後。声を上げる間もなく。

「くっ!」

空中から奇襲。腕から炎を噴出しながら切り裂くように振り下ろす。影が差した時点で防御の構えをとっていたが攻撃を前に顔を顰めて後方に跳び退いた。けれど着地による隙は浅くその人は直ぐ様駆け出し、くるくると回転して接近しつつ衝撃波による攻撃を繰り出して。迷わず、ドンキーは腕を交差させ防御をとったが。

――なんやこのロックマンゆう男! ステージに入ったら変身しよったぞ!

ロックマンの姿はバトルルームに居た時の姿と全く異なっていた。瞳はより強く青い光を灯し戦場を、戦士を真っ直ぐに見据え、青の装甲を身に纏っている。ただの人間ではないと思っていたが――まさかロボットだったとは。

「しまっ、」

防御を崩され隙が生じた。

「にっ兄ちゃん!」

ディディーが叫ぶも間に合わない。

終始無言。ロックマンは機械化した右腕を突き出し、構える。


……冗談やろ。

こいつ。ほんまに強すぎる――!
 
 
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