第二章-前編-
ルーティはモニターを見上げて小さく息をついた。
どの試合も接戦である。それだけに目が離せなかったのだ。
「あっ」
戻ってきたマルスとアイクに小さく声を上げた。モニターと見比べて声をかけようとも思ったがそれよりも早くマークとルフレが駆けつけて思い留まる。
「さすがですね。あの局面で負けるとは思いませんでした」
マルスは差し出されたタオルを受け取りながら、
「勝てると思っていたかい?」
意地悪く。
「う、うーん。カウンターには気をつけていたんだけどなぁ」
「もっと物事を柔軟に捉えた方がいい。これはあくまでスポーツなんだから」
「分かってはいるんですけど緊張が解れなくて」
やっぱりそんなものなのかな。向こうの部隊が少ないのもそうだけど、勝ち進んでいるのは殆ど『X部隊』のチームだ。……、というか。向こうの部隊で勝ち進んだのはAブロックのシュルクとマックのチームだけじゃないだろうか。
緊張を和らげてあげたいけど。あれもそれも経験なんだろうな……
「――はっ?」
誰かさんが素っ頓狂な声を上げたのは直後のことである。