第二章-前編-
「唸れ、轟け、一条の雷!」
金色の魔法陣が足下に浮かび上がり光が弾ける。
「戦場を穿て! トロン!」
――第六回戦。
「くっ」
地面に沿って真っ直ぐ放たれた雷の柱を。既の所、躱して。
「アイク!」
回避行動の遅れたパートナーを振り返ったが直ぐ様正面に気配を察知。向き直って剣を構えるとちょうど、そのタイミングで正面から青の閃光が襲いかかった。
「させるものかっ!」
叫んで受けた剣を刀身で跳ね除けその隙、薙ぎ払って撃退。攻撃は当てたがその人は上手く受け身を取ってそのまま後方へ跳び冒頭の法撃の主の傍らへ。
マルスは顔を顰めた。――双子軍師のマークとルフレ。剣術と魔法その両方に長けており、かといって腕前が浅いでもなく実際の剣士とも対等にやり合える実力者。加えて双子ならではのコンビネーションが互いの隙を許さない。
「PKフリーズ!」
と、マークとルフレの背後。仕掛けたのはリュカ。
けれど対処は早かった。振り向き様、詠唱も無しに手を翳したかと思うとマークは炎の柱を放って。それはリュカの放った巨大な氷の結晶を一瞬にして消失させ、顔の側面を恐ろしい勢いで掠めた。目を開くばかりの子供に容赦なく、ルフレは手に持っていた青銅の剣をくるっと逆手に持ち直し、急接近。
「くっ」
仕掛けるなら今しかない!
駆け出すマルスに気付かないはずもなく。マークは紫の表紙の魔導書を広げる。
「はああぁあっ!」
振りかざされる剣に反して口角を吊り上げる、その笑みの傍。
暗い闇が、影が視界を妨げた。
「――読み通り」