第二章-前編-
ここまでがAブロック。そしてここから、Bブロックの戦いが始まる。
――第五回戦。
「へえっやるじゃん!」
熱い空中戦を繰り広げるのはカービィとヨッシーだった。
長く、高い位置に滞空し続けながらの攻防戦。カービィの蹴り上げをヨッシーはひらりと横に一回転して躱し、流れるように回し蹴り。咄嗟に両の腕を立て防御するも思いの外重く入ったそれはカービィを容赦なく跳ね飛ばして。けれどカービィも直ぐに空中で体勢を立て直し後転、虚空を強く蹴り出して接近を仕掛ける。
「ふん!」
一方。地上ではメタナイトとシークが激しく打ち合っている。剣を払い後退するメタナイトの懐へ低い姿勢で潜り込み、拳を打ち込む。ぐ、と呻き声を漏らしたが幸いにも浅い。マントを翻しその場から消えると次の瞬間には背後に回り込み、無防備な背中を蹴り飛ばして。拳を当てて咳き込む、その一瞬の油断。
「はっ!」
入れ替わるように。
「……!」
飛び込んできたのはサムスだった。
同じチームのカービィは上空。手は借りられない。仮面の内側で顔を顰め迎え討つべく剣を構える。蹴り出された脚を剣の刀身で受け止め、押し返して――
「んなっ」
異変が起こったのはその直後だった。いや――大乱闘の最中で異変なんてものは。
「ワッハッハ! がら空きだ!」
背後から拳を振るい襲ったのはワリオだった。さすがその悪人面もさることながら――今はそこを指摘するべきじゃないか。この大乱闘は生き残った者こそ勝利。
なら、生き残る為に隙を伺い自身の体力を温存するも――策の内。
「カービィ!」
場外へ投げ出されながらその名を叫んだ。途端、ワリオの頭上に影。
「……がら空きだよ?」
戦場である限り。
安全地帯なんてものは。