第二章-前編-
不意打ち。死角。
「ッうぐぁ」
ポケモンの技に例えるなら“とっしん”といったところか。愛はある。
これに対して避ける、受け流すなど対策は様々あるのだが最近は上手いこと潜って突撃してくる。周りも指摘する通り、いい年齢だし女の子なんだけど……
「一回戦から一緒に戦えるなんて、これはもう運命だよね……!」
違うと思う。
後ろから抱きつきルーティを捕らえたピチカは頬擦りをして背中を満喫。
「百合というやつだな……」
「僕は男だよ」
さて。……ウルフがピチカを引き剥がしたところでリンクは咳払い。
「ルールはワンストック、チーム勝ち抜き戦。アイテム無し、ステージは『戦場』固定で戦ってもらいます」
リンクは手のひらを広げて見せる。
「制限時間は五分。……五分で決着がつかなかった場合、ストックの多いチームが勝利となります。ストックの数が同じだった場合はサドンデスに突入です」
特に変わったところはない。ルーティは小さく頷いた。
「それから。試合開始の合図から十秒、それぞれ動作の確認を行ってください」
念には念を入れるということか。
「よろしいですか?」
「はぁーい!」
ピチカとローナが揃って手を挙げた。
「では、お願いします」