第二章-前編-
「いいじゃん」
誰よりも早く賛成したのはロイだった。
「八人で大乱闘なんて面白そうだし」
「新しいステージかぁ。ワクワクするなあ!」
嬉々として続けるピットにリンクは慌てた。
「ち、ちょっと待ってください。テストプレイをしたわけじゃないんです。それで不具合が出ないとも限らないんですよ?」
「そない意地悪ゆうたらんで試しにやってみたらええやんか」
「意地悪じゃありません。心配してるんです」
リンクは真面目顔でドンキーにずいと詰め寄る。
「それに。データの更新にお試しも何もありません。壊れたらどうするんですか」
「ほ、ほんなら直してもろたらええ話やし」
「あの性悪神がタダで済ませてくれるとでも思ってるんですか」
後半になるに連れて二人が小声で話すのをシュルクは疑問符を浮かべて。
「えっと」
見兼ねたルーティが声をかけた。
「信用してもいいの?」
「残念だけど僕たちからは何とも言えないよ。……ただ、政府の技術専門チームがファイルの製作に関わってる、と言ったら少しは信用してもらえるかな」
成る程。それなら少しは信用できる。心配する気持ちは分からなくもないけどこのままじゃ埒が明かないし。
「やってみよう」
リンクはぱっと振り返った。一か八かの賭けかと思えばそんな重たい話でもなく、発言の主のルーティがきらきらと疼く好奇心を両の目に宿して見つめるのにうっと言葉を失い、やがて諦めたのか盛大な溜め息。
「……分かりました」