第一章



「こらっ、ルーティ!」

急に言われるものだから大袈裟に肩を跳ねた。

振り返ればそこにはリムと……ネロの姿。

「駄目じゃない。せっかくの式典にそんなぼさぼさの頭で」
「大方、寝坊したもんで髪整える時間もなかったんだろ」
「そういう問題じゃないわよ! うちの部隊の代表なんだから」

ネロは頭の後ろをがしがしと掻いた後で、

「……だとよ」

やれやれと溜め息。

「我が家のヘアアシスタント様がご立腹だ」
「ええっ、ちょ」
「五分ほど借りるぞ。お前も来るか?」

ルーティは助けを求めるように視線を遣ったが。

「……好きにやってくれ」

がーん、普通に見捨てられた!

「大丈夫だよ! いざとなったらウルフェン飛ばせばいいんだから!」
「おい餓鬼、ウルフェンはタクシーじゃねえんだよ」
「じゃあソニック?」
「そういう問題じゃないだろ」

最後ツッコミを入れたところでネロは振り返り、促すように顎をくいっ。

「……さっさと済ませるぞ」
 
 
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