エピローグ
この世界は。
神様に愛されている。何処か欠けても歪んでもそれを補うように僕たちは遊んだり戦ったり、様々な形で物語を綴っていく。神様はそうして物語の糸を編んでこの世界という美しい織物を少しずつ完成させていく。
「さて」
時として色を変えて。
「お返し」
我が儘も横暴も振りかざす神様を。
「え」
僕たちは。
各々の正義で立ち向かう。
「あ、亜空軍!?」
右手を払えば異空間が開いて。続けざま左手を払えば使者を喚び寄せた。降り立つ紛れもない敵の群れに戸惑っていれば不意に放たれた黒い稲妻にパートナーが飛び込んで反射板を展開。
「スピカ!」
「心配かけやがって」
どこか鼻声で両目が充血しているように窺える幼馴染みも。優しい笑みを浮かべて深々と頭を下げるその人のパートナーも。
「騒がしい音がするので引き返してみれば」
何よりも正義を高らかに謳うあの人も。
「げえっマジで戦うのかよ」
「屋敷が吹き飛んだら夕飯は抜きですよ」
「それは流石にないっしょ」
神様が愛した世界の一部だから。
「さあ」
浮遊する二体の神が見下す。
「始めようか」
見上げる勇姿たちの愛おしさを噛みしめて。
「お前たちの正義を見せてみろ」
そう。これは。
異なる正義が紡ぎだす絆を信じる。
この世界の片隅の物語。……
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