エピローグ



胸が騒ぐ。

「──本当に神様になったら」

ルーティは口を結ぶ。

「これまでの自分を捨てて新しい自分に生まれ変わることになる。時間も記憶も概念も全てを書き換えて新しい神として確立させる」

その言葉が意味するのは。

「どうする?」

密かに拳を握って瞼を閉ざす。


ずっと。考えていた。

この世界がもっと優しくなったら。


慈しみ愛するそんな単純な心がこの世界をより幸せに満たせるのなら。負の感情も絶望も全て払い除けて平等を約束できるのだとしたら。


神様に成るのも。

悪くないのかもしれないなんて。


「……わかった」


創造神と破壊神は互いに視線を交わす。

少年はその一歩を踏み出した。止める声が一切上がらなかったのは彼の選択を認めていたから──いいや。


最後の瞬間まで、信じていたから。
 
 
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