エピローグ
「ルーティ」
華やかな空気の中で顔を上げると。
「ロックマン……!」
第四正義部隊フォーエス部隊。
そうだ。彼らはベンゼルの操り人形として本来避けるべきだった絶望の未来へ導くために用意された脚本に従っていた。信じて振りかざしてきた正義も何も全てがベンゼルの思惑に沿ったものだったのだ。故の絶望感はきっと計り知れないものだっただろう。それでも彼らが此処へ足を運んだのは彼らの本当の意思が決定された未来を捻じ曲げたからである。
様々な思いを胸に。
彼らはここにいるのだ。
「さて。何から話したものかな」
ロックマンは苦笑にも似た笑みを浮かべて。
「君を救出して全てが終わった後──第四正義部隊フォーエス部隊は責任を負った。心配には及ばない。解散なんて重いものではないからな──先輩方の働きかけもあって有り難いことに活動自粛という軽い謹慎に留まったんだ」
静かに視線を上げる。
「ルーティ」
そして。
「──すまなかった」
彼は。
誰よりも深く頭を下げた。
「許しを乞おうなどとは思っていない。これは己の振りかざす正義に自惚れたその末路だ」
正義部隊の面々は遅れて頭を下げる。
「本当に」
伝わってくる。
胸の奥から込み上げてくるような想いが。
「ロックマン」
ルーティは口を開く。
「自分の正義が間違ってたなんて思わないで」
ロックマンははっと目を開く。
「僕たちの正義も。君たちの正義も」
笑う。
「ちゃんと"正義"だったんだよ」
溢れる。
「じゃなきゃ僕が目を覚ました後の景色が」
こぼれ落ちる。
「こんなに眩しいはずないんだから──」