エピローグ
え、
「うわあっ!」
……自分の情けない声と鈍痛に目が覚めた。
ゆっくりと瞼を開くと見慣れた景色が逆さまに映り込んでいる。ベッドの上から転がり落ちて自分が頭から床に突っ込んでいるのだ。
「あだ」
どうにか残されていた下半身も程なく不時着。自分の情けなさに涙さえ浮かべてしまいながら体を起こして後頭部を摩る。巻き込んで落下してしまっていた目覚まし時計を手繰り寄せて見れば時刻はとっくに十二過ぎを差していて。
これじゃ、リーダー失格だなあ……
小さく溜め息を吐き出して目覚まし時計を有るべき場所に戻し立ち上がる。色々と思うことはあるがとにかくこんな気持ちは切り替えるべく着替えてしまわないと。……
「ふぅ」
いつもの服に着替えて髪を払う。ひと息ついて締め切ったカーテンを開けば日の光が思いの外眩しく思わず呻いた。反射的に瞑ってしまっていた瞼をそろりと開いて窓の外を見遣る。
……あの時。
僕は。ロックマンを庇って──
苦い最後の記憶とは裏腹にこの世界は飽くなき平和を謳うかのように青い空が何処までも。照り付ける日の光に反射した入道雲の白が眩しくさては化かされているのではないかと見紛う。試しに後頭部に手を回して先程打った箇所を押し込んでみたが即座蘇る痛みに「いっ」と声を上げて肩を跳ねた。……夢ではないらしい。