最終章-後編-
双子は表情も言葉の色も変えない。
「俺たちはこの世界を管理する者」
「管理するべくして役目を果たすだけ」
クレイジーは手を差し出す。
「、やめろ」
打って変わって怯えたように。
「破壊神クレイジーハンドの名において世界に干渉した現在過去未来の全てを破壊する」
朱の目が瞬いた。──次の瞬間赤黒い雷が何の前触れもなく内一つに落とされてウィンドウは暗転のち赤文字で"ERROR"表記。
「あれ」
フォックスは頭を触れる。
何かが抜け落ちてしまったような。
「夢も記憶も経験も情報も」
クレイジーは広げた掌をそっと握る。
「全ては跡形もなく」
嗚呼。
「やめろやめろやめろやめろ……!」
制裁なんて言葉では足りるはずもない。
「何も残らない」
彼らの鉄槌は"死"すら生温く錯覚させる。
「これまでもこれからも」
概念すら。
「ぁ……ああ……ッ」
まるでパソコンがシャットダウンをするようにウィンドウはひとつ残らず消え失せた。四角い箱の中に残されたそれが一体何者だったのか、今はその記憶すら乏しい。
「ぐ、……くくく」
それは観念したかのように笑う。
「無欲な神々だ。貴殿らの願うこの世界を彩る素材としての価値は充分だっただろうに──」
言葉を切るように。
「思い上がりも甚だしい」
吐き捨てる。
「──消え失せろ」