最終章-後編-



皆、生きているんだ。

あの日進めなかったその先の未来に。


私たちは。


「!」

手が触れて肩を跳ねる。

「ルキナ」

振り向く彼女にマークは優しく笑いかける。

「お疲れ様」


……その言葉を。

どんなに待ち望んでいたか。


「っ……うぅう……!」

傷付いた心を癒すなら。慰めてくれるのなら誰でもよかったというわけじゃない。


この人たちでなければ意味がなかったのだ。


「ルキナったら」

大袈裟だと側で笑うルフレも微かに鼻をすすり涙を浮かべてしまっている。

「そう言うルフレこそ」
「ち、違──」


次の瞬間だった。


「──!」

大きく地面が揺れ動いたかと思うと離れた地面から何かが飛び出した。浮かぶ、紅の玉を目にした瞬間一気に緊張が高まり誰も構える。

「ベンゼル……!」


あの時。

消えていなかったのか!


「小賢しい……愚かな人間どもめ……」

品定めをするかのように地上を見下ろすそれは紛れもなく器を探している。当然のこと寄越すつもりも許すつもりもないがお察しの通り先程までの戦いで力を使い果たしてしまっている。

「くく……くくく……」

怪しく笑うそれは疲れ果てた戦士たちを見下し何れかに狙いを定めたようで。彼方にまで届くような強い光を放つ紅の玉に戦士たちは各々の武器を構える。例え退けるまでに値しない残りかすのような力であれ企みを許すわけには──

「隊長!」
 
 
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