最終章-後編-
照準に狂いはなく。標的に狙いを定めて。
この瞬間に全てを懸ける。
仲間を。絆を。
自分たちの未来を信じて。
エネルギー最大出力。
カウント零。──解き放つ。
「いけ!」
極彩色の羽根を広げて。
「ウルフ!」
撃ち出される最大出力のエネルギー弾。目前に迫ったが刹那右目の蒼が瞬いて防壁を築いた。弾は防壁を撃ち砕く。消失する。
その背後から。
飛び出してきたその人の一撃を防げない。
大きく振るった拳が少年を纏っていたオーラを砕いた。己が身に宿した禁忌神の零に帰す力が少年を暴走させていた創造と破壊の力の全てを零にして吹き飛ばす。弾き出される。
刹那彼の者らを中心にして恐ろしい強風が巻き起こった。砂利も粒も巻き込んで風は容赦なくその場にいた全てを四方八方に払い飛ばす。
同刻。晴天の陽の光が眩しく。
けれど歓声や賞賛の声が上がることはない。
歴戦の戦士たちは意識を手放して。
……辺りは。
恐ろしいまでの静寂に呑み込まれていた──