最終章-後編-



逃げたかった。逃げてほしかった。

満ち足りた愛しい日々を温かく優しい人たちを掻き消すようにして訪れる絶望をもう一度この目にするのだけは耐えられなかったから。


でも。


肩を並べた仲間たちは。

恐怖を抱きながら、それでも。


同じ。戦うことを選んだ。


「ふうううぅううう……っ!」

たくさん謝りたいことがあるんです。

弱かったこと。愚かだったこと。


未来は無いものだと思い込んでいたこと。


だけどもう諦めない。

私たちは。


「はああぁあああああああ!」


絶望を切り開いて。──未来を掴む!


「ブラピさん!」

息つく間すら与える筈もない。突き出した剣を躱されたが上空から黒い羽根が舞い落ちると、死角から滑り込むように双剣が払われた。

「っ、後で訂正しろ!」

ルキナは小さく目を開いて息を呑む。

「……はい!」
 
 
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