第二章-前編-
わいわい、がやがや。
賑やかなのは良いことだ。ルーティは朝からケーキを頂くという贅沢を満喫しつつ周りを傍目にココアを啜った。向かいのロックマンがにこりと笑いかける。
「気に入ってもらえたかな」
何を当然なことを。
「そりゃあ、」
「本当はもっと別の用件が」
リンクは口を挟みつつ空のカップにポットでコーヒーを注いで。
「……お有りでは?」
視線を上げる。
「やれやれ」
ロックマンはそれまで浮かべていた笑みを口元にだけ残し、目を細めた。
「噂には聞いていたが、勘が鋭いな」
「おや。どんな噂でしょう」
リンクはにこやかに返す。
「……やめておこう」
一方でルーティは全く話についていけない様子だった。それでもまさか変なものが仕込まれていたのではないかと今更警戒し、最後のひと欠片が刺さったフォークを皿の端に置いて。
「ルーティ」
しんと食堂が静まり返った。
「『フォーエス部隊』を代表して君に頼みがある」
ロックマンは両肘を立てて寄りかかり、両手を口元へ。
冷たく深い青の瞳で見つめて。
「……我々と」
告げる。
「戦ってもらえないだろうか」