最終章-後編-
風の切る音──振り幅は狭いが確実に。下から拳を突き上げるも首を反らされて躱される。
「ハル!」
背後に迫ったハルが呼び声に応えるように斧を振るったが当然背を反らして回避。
「トレーナー!」
空いた側面を突くべくしてトレーナーの右腕が伸びるが寸前で踏み堪えたと思うと眼光の尾を引きながら振り向きざま腕をはたき落とした。生じた隙を見逃さず回し蹴りの姿勢に変わるがすかさずハルはトレーナーの服の裾を握り締め自分の側へ引っ張り寄せながら。
「ドクター!」
怖い。
本当はものすごく怖い。
「クラウド!」
でも。
「──ベヨネッタ!」
逃げたり。諦めたり。
仲間の手を離してしまうことの方が。
失うことの方が、もっと怖い。
「悪い子にはお仕置きよ」
口に咥えていたロリポップを妖しく抜き取ってベヨネッタは双銃を構える。
「──シラヌイ!」