最終章-後編-
ダークシャドウは撤退。X部隊はその半数以上が深手を負って戦線復帰は困難。政府御用達の精鋭部隊も全く歯が立たない状況に武器も体力も余せど浅く息を弾ませ途方に暮れている。
嵐の前の静けさ、というやつだった。
「……大丈夫かい?」
緊張で胸が締め付けられる。
「だ、」
「大丈夫じゃない時に強がらないで」
ルフレが言うとシュルクは乾いた笑みを零してそれからゆっくりと息を吐くと。
「、そうだね」
標的を中央に置いてぐるりと円を描くように、刺激を与えない攻撃圏外にあたる位置に武器を構えて待機する。後はもう既に上空で待機しているパルテナが光魔法を発動すればそれが作戦開始の合図となるのだが。
「大丈夫だよ」
何の根拠もないその一言が救いだった。
「始めるぞ」
ブラピが口を開けば空気の色が変化を生じた。そのまま流れるように視線を投げかければ上空待機していたパルテナも応じるようにこくりと頷いて杖を手に瞼を閉ざし詠唱を始める。
淡く白を纏う。
魔方陣が浮かび上がる。
「──光の奇跡!」
展開された魔方陣から降り注ぐ光の矢の群れにルーティは即座に反応を示し顔を上げた。回避行動に移ろうとする彼の懐に潜り込んだのは。
「マック!」