最終章-後編-



標的──半神ルーティ・フォン。

放浪の悪魔が憑依しているとはいえまだ完全に乗っ取ってはいない。だからこそ周囲に攻撃を下すより停止している時間が長いのだろうがその間隔も次第に短くなってきている。これ以上時間を取られれば最も恐れていた最悪の事態を招くであろうことはまず間違いないだろう。

「クラウド、三時の方向へ!」

声を上げて指示を交わしながら確実に。

「遅かったじゃねえか」

作戦のために場所を移動していたロックマンの後ろで呟いたのはウルフだった。

「君もからかう程度の余裕はあるようだね」

ロックマンは集中すべく瞼を閉ざす。

「どのくらい掛かる?」
「さあな。ただし痛みはなくなった」

あれから一時間が経過しようとしている。そろそろ身体に馴染んでもらわないと困る頃だが。

「作戦内容は?」

静かに瞼を開いた。

「『AL-R』は"Readerリーダー"を除いた隊員全員が
同じタイミングであらゆる角度から一斉攻撃を放つ作戦だ。それで仕留めきれたなら理想だが標的は恐らく数センチ、或いはそれ以下であれ生じるであろう隙間を抜けようと試みる……」

きっと標的を鋭く見据えて。

「攻撃は誘導だ。作戦の要は自分が請け負う」
「回避前提の一斉攻撃とは思い切ったな」
「ああ。だから絶対に外さない」

機械化した右腕を構える。

「最大出力のエネルギー砲を叩き込む」


俺たちは。

未来のために。


「──この一撃に全てを懸ける!」
 
 
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