最終章-後編-



きっと。

これから先だって忘れることはないだろう。

「他に打つ手は無いのか……!」
「最後に残された手がそれなんだろうよ」

モウカは語る。

「だったらワシらは尊重してやるべきだろう」

苦悶の色が拭い去れない。

「どうするんだよ。光の女神パルテナ」

刺すような視線を投げかける。

「私は……天界へ戻ります」

背を向ける。

「そして見届けます。最期の時まで」

ブラピは舌を打ったがそれでも尚ロックマンは此方を振り返ることはなかった。

「……そうかよ」

黒い羽根が舞い落ちる。

「隊長、」
「パックマン」

覚束ない足取りで歩み寄ろうとした彼を止めたのはシュルクだった。

「……行こう」


そうだ。……それでいい。

これで未来が変わる。変えられる。


どんな結果に終わったとしても報われる。

この世界の何処かで息づいていてくれたなら。


……それで。


程なくして周囲の音が途絶えた。

きっともう彼らはこの場を離れたのだろう。

大きく息を吸い込んで顔を上げた先に絶望の根源はいた。自分の役目は一分一秒でも長く彼の注意を引いて足止めすること。

洗脳されていた期間を除けば彼と真面目な形で戦うのは二度目──トーナメント以来か。あの時は惜しくも優勝を捥ぎ取られる結果となってしまったが今度はそうはいかない。

大丈夫。言い聞かせるように瞼を閉ざす。


世界が救われなくても。絶望を覆せなくても。

俺が本当に守りたかったものは。
 
 
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