最終章-前編-
風を切る音がして。
幾つもの攻撃が撃ち込まれる。
舞い上がる砂煙に身を隠しながらの激しい攻防戦。目を凝らせど窺えない奇襲を仕掛けたその人物にすっかり意識を奪われていたが隙を突くかのように身体に痛みが走ればウルフは思わず瞼を瞑って。視界の閉ざされた中であれ聴覚は働き砂利の踏み込む音打ち込む音を捉えながら正体の候補を頭の中でリストアップしていく。
「……!」
程なく砂煙の中から突き飛ばされるような形で飛び出してきたのはルーティ。まさかあの打ち合いに勝るほどの体力を残す仲間がいたとは。フォックスは思わず辺りを見回した。
「危ねえ!」
纏った赤の障壁が弾けて破片は無数の刃となり四方八方へ散らばる。既の所でファルコが青い反射板を展開させることでフォックスも事なきを得たが全員が回避を叶えた訳ではない。耳に障る音や声に顔を顰めたが最後の攻撃を打ち落とした音にフォックスはゆっくりと振り返る。
「は……っは……」
苦笑気味に口角を吊り上げて。
「自負、していたわけではないが」
攻撃に守られたパックマンは静かに目を開く。
「苦戦を強いられたのは……初めてだ」
青の装甲を身に纏いし正義の戦士。
「先陣の方々よ。防衛感謝する」
その人は構え直して。
「ここからは」
双眸に闘志を宿し見据えて紡ぐ。
「──参じたロックマンがお相手しよう」