最終章-前編-
やめてしまおうか。いっそのこと。
こんなことは。
今迄の何もかもが全て夢でした、なんて。目を覚ますみたいに戦うことも守ることも放棄してこんな悪夢から覚めてしまえたなら。任務から戻ってきた仲間を汗臭いなんてからかって肘で小突くような下らない日々に。愛した日常に。
「諦めないからな」
ふらふらと立ち上がれば視線が向いた。
「俺たちは」
「絶対……!」
赤と緑の帽子を被り直す。
ルーティは無表情のまま小首を傾げた。次々と立ち上がる戦士たちにはそれ程興味を示さずにまたも地面に片膝を付き頭を垂れて融合を図っているウルフに目を向ける。パートナーだからこそ惹かれるものがあるのか最優先で潰すべきと勘付いたのか見当もつかないが攻撃をされるのは当然まずい。フォックスは銃を構える。
「はあっ!」
斬りかかったカービィは呆気なく蹴り飛ばされ続けざま仕掛けたロイとマルスも同様に。怯むはずもなく背後から剣を振り下ろすアイクだったが防壁によって阻まれたかと思うとその身諸共弾かれてしまう。駆け込んだソニックが拳や蹴りを繰り出すも全てを防がれた上で弾き飛ばされた。スネークのミサイルランチャーによる攻撃も防壁は難なく防衛を成功させたが黒煙に包まれ間もなく飛び出す。──標的の元に。
「間に合うか!」
「──All right!」
空中で体勢を変えて受け身を取りつつ着地したソニックは直ぐさま地面を蹴り出す。X部隊中トップクラスのスピードを誇る彼に追いつけないはずはなくルーティの背後につけば地面を再び強く蹴り出しまるでハードルのような要領で跳び越す。だがしかし振り向きざま蹴りを繰り出せば防がれてその上で肉眼では捉えられない速度の打撃が数発。ソニックは目を開く。
「ソニック!」
ああ。
この手にはもう力が入らない。
己が直々に手にかけるため伸ばされる手を誰も止められるはずもなく。差す影に気付いて閉ざされていた片目をおもむろに開いて見上げた。
終わってしまう。始まってしまう。
もう。……