最終章-前編-



地響き、耳を劈く爆発音──直後にこの身をも吹き飛ばす勢いの強風が巻き起こり、事実油断していた半数以上の戦士たちが宙を舞い地面を転がり伏せた。スピカが構えていた腕を解いて目を凝らすと程なくして要塞を覆っていた霧や煙が糸を解くように開いて消失。これで──

「リーダー!」


気付いた時には目前にいた。

口角を吊り上げて不気味に笑うのは。


「は」

何か言葉を発するよりも早く鳩尾に拳と蹴りの二連撃を打ち込まれて。吹き飛ばされるスピカを目に地面に叩きつけられるよりも早く飛び込んだダークウルフが抱き止めて地面を転がる。

「っ、ぐ……」
「げほっ」

身を呈して飛び込んできてくれた彼の身を案じたいのは山々だが。それよりも。

小さく咳き込んで上体を起こし見つめた先には幼馴染みが立っていた。いや──かつて幼馴染だった生命体と言った方が正しいのだろうか。

双眸に創造の蒼と破壊の朱を宿して。両腕共に二の腕半ばから分離。分離した前腕はブロックノイズを時折走らせて色も本来は有り得る筈もないターコイズブルーに変色してしまっている──衣服は上半身に限り消失。所々前腕と同じ色に変色と胸の中央には核と思しき虹色の玉。


俺の知っている、あいつじゃない。


「くはは」

その生き物は幼馴染みとよく似た声で笑う。

「あれだけ忠告しておいたというのに」
 
 
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