最終章-前編-
浮遊する黒い影が巨大なエネルギー弾を放つ。難なく躱してその隙に距離を詰め斬り伏せるも敵は飽きもなく湧いてくる。
「息上がってきてるんじゃない?」
此方に背中を預けながら、からかうように言う彼も汗というよりは冷や汗を浮かばせていた。今現在空も地上も思わぬ奇襲に時間を食わせてしまっている。そうしている間にも最悪の事態即ち融合は果たされようとしているのに。
「てめえらサボるなよ!」
声を上げて応戦するネロも影が差せば即座に回避と蹴りで突き放して火炎放射。地上でもそのパートナーであるローナとシフォンが主であるレッドを守るべく立ち回りながら襲い来る敵を撃退している。それが結果として数を減らしているのか定かではないものの放置したところで結局放出され続けるのなら、溢れる前に。
「来るぞ!」
複数の黒い影が遠方に配置されるのを見て声を上げれば間を置かずエネルギー弾が放たれた。虚空を蹴り出して翼を羽ばたかせ飛翔。速度を上げて滑空しながら剣を引く。
「──はあっ!」
斬り捨てられた影はその場で消滅するが自我を持たない彼らの攻撃が止む気配はない。
「死んじゃだめだよ。メタナイト?」
「それはこちらのセリフだ」
小さく息を吐き出して剣を払う。
「──いくぞ、カービィ!」