最終章-前編-
鍛え上げられた反射神経は稽古付けられてきた賜物といったところか。接近する違和感に振り向きざま剣を払って応えたのはマルスである。響く金属音が確かな手応えを感じさせて思わず顔を顰める。仕掛けてきたのは剣と盾を構えた黒塗りの骸骨剣士スタルフォスだった。
声も音も発さず標的と認識した対象を見据えて再びその剣を大きく振りかぶるスタルフォスにマルスは一先ず回避をとる。同じ頃別の場所で金属音を響かせ応戦する影が二つ。金色の髪が剣を既の所で躱すと同時はらりと舞った。顔を顰めて切り返せば盾に防がれてその合間にまた剣が振り上げられる。晴天に掲げられたそれは皮肉にも怪しく光沢を走らせて視界に眩んで。
「……!」
響く金属音にリンクは目を開いた。
「ダークリンク!」
舌打ち。ギリギリと互いに譲らず押し合った後踏み込んで押し返せば後退した隙に遠方から銃弾が数発撃ち込まれた。程なくスタルフォスが消滅してしまえばダークリンクは膝をついて。
「は……ッは……」
様子違いの息を吐く。
「兄ちゃん!」
見れば共に行動していたトゥーンも突如として襲いかかったスタルフォスをダークトゥーンの助けもあり撃破にまで至っていた。
「要塞の纏う物質から生み出されたらしい」
ダークトゥーンが呟く。
「、くく……上等、じゃねぇか」
剣を地面に突き刺してふらりと立ち上がる。
「は……遅れをとるなよ……」
「ダークリンク……貴方、」
言い切らぬ間に四人を囲うように今度は四つの黒が空から降り立つ。積み上がり形成されるは先程と同じ骸骨剣士のスタルフォス。
「くくくく」
赤の双眸が獲物を見定める。
「──錆にしてやるよ、雑魚どもッ!」