最終章-前編-
全ての生物無機物を拒絶するかの如く吹き荒れる強風を盾に立ちはだかる。要塞を払わねばと様々な攻撃が飛び交うがそのどれもが纏う黒に弾かれていた。こうしている間にも融合は果たされようとしているのに焦りばかりが募る。
「最大出力」
僅かに拾えた声を確かに飛び退く。
「発射」
凄まじい勢いと威力を誇る、光の一線が要塞に向かって放たれた。希望を見出すようにして、光は初めて要塞を貫き大きく穴開く。
「凄いじゃないですか!」
『えっへん』
攻撃を下したのはロボットである。歓喜の声を上げるヨッシーを相手に威張るのはロボットのパートナーのゲムヲ。言葉を発するではなくいつも通り文字を綴ったスケッチブックを掲げる彼に張り詰めていた緊張が緩みそうになる。
「、危ない!」
逸早く察知したフォックスが声を上げた。
刹那──要塞の中心部と思しき箇所から先程と同じ光の一線が放たれる。誰を標的としたわけでもない攻撃は我先に飛び出したフォックスのリフレクターにより跳ね返されて。何処でもない空に反射したつもりが空中で弓を構え狙いを定めていたピットの元へ向かってしまい間一髪気付いたと同時に回避。事無きを得る。
「ピット!」
「分かってるよ!」
閉ざされる前にこじ開けてやる!──改まって弓を構えたピットの背後に浮かび上がる巨大な光の魔方陣は地上から両手を翳すゼルダによる魔力の補助支援を指し示す。標的を見据え解き放った矢は同じく地上で両手を組んだピーチの祈りに応えるかのように目映い光を強く放って速度を上げながら要塞の中へ飛び込む。
「────────ッッッ」
声のような音のような。要塞を象る黒が攻撃を受けて弾かれると悲鳴が上がった。この調子で攻撃の手を緩まず挑めば道は切り開かれる。
そう、思っていた。