最終章-前編-
意図の読めない発言に。
「何を言って──」
「どうもこうも言葉の通りだ」
困惑を切り捨てるが如く言い放つ。
「アイツは餓鬼どもの力に振り回されている。だがそいつは今現在の話で未来じゃ上手く使役出来てたって話だろう。なんてことはない力が体に馴染みやがったからだ」
ウルフは続ける。
「神の力は時間を掛ければ多少無茶はさせても人の体に馴染ませることができる──未来証明されてることだ間違いない。ならてめえの力をこの俺様の体に馴染ませることも出来る筈だ」
……そういうことか!
OFF波動を情け容赦なくぶつけたのでは当然ルーティの体は耐えられない。けれどもし他の誰でもいい同じ人間の体に神の力を馴染ませることが出来たなら。
変わらぬ効力を保ったまま──けれど神の力をそのままぶつけるのとは訳が違う。少なくとも死に至らしめてしまう最悪の結果を招くまでに至らないのではないか。
「できるよ」
どくんと心臓が騒ぐのを感じた。
「ただし、OFFはどうはつかえない。だからおなじちからをつかってぶつけることになる」
ロイは腕を組む。
「要するに直接行って殴れってことだろ」
「けど今のあいつめちゃくちゃ防御硬いぜ?」
ディディーは眉を下げる。
「チャンスは一回だけ」
「防御を開いて隙を作れってことか」
今尚纏い続ける神力が自我を思考を蝕む。
彼が自分たちの為に道を切り開くことはない。
「……そんなこと」