最終章-前編-
一瞬。何が起こったのか分からなかった。
銃撃音と爆音。尚も容赦なく攻撃は叩き込まれ幼馴染みは黒煙に包み込まれる。しかし攻撃は尚止まず空からは戦闘機の機銃と地上からは戦闘員の構えた長銃が猛攻を仕掛けて。
「……間に合ったな」
静かな声で呟いたのは。
「と、父さん……!」
第四正義部隊フォーエス部隊管理下──元特殊防衛部隊DX部隊所属──クレシス・リー。
「くっ」
兎角飛び出そうとするスピカをすかさずダークウルフが腕を掴んで引き止めた。
「賢明な判断だ」
「今更のこのこと現れてッ」
スピカは声を荒げる。
「こいつは一体どういう了見だ!」
「精兵ばかりを集めた特務精鋭機関。ひと先ずこの場を持ち直すことくらいは出来るだろう」
「そうじゃない!」
はあ、と溜め息をついて振り向く。
「だったらこの状況は何だ?」
顔を顰める。
「最善を尽くしてこの結果なら当然これ以上は何をやったところで時間の無駄だ。だとしたら次にどう動くべきか。──答えは簡単だ」
淡々と。
「最悪の選択を選び取るしかない」
ざわつく。
「簡単に諦められるかよ!」
「そ、そうだよ!」
負けじと身を乗り出してピチカも続く。
「こんなの最後までわからないよ!」
「だったらどうする?」
冷たく。
「この世界の破滅まで待つか?」