最終章-前編-
、銃声。装填のち改めて狙いを定める。
「ファルコ!」
止める間もなく撃ち出された弾が牙を向いて見事幼馴染みの肩を貫いた。途端噴き出す鮮血に目を開いたが驚いたのはその直後。傷口から幾つもの蒼白い糸が現れて負った傷を修復する。未だかつて誰にも真似事は出来ないはずのその不可思議な能力には当然見覚えがある。
「────────ッッ」
耳を劈く。
「──ウルフ!」
まずいと悟って声を上げる。彼にとって絶望の根源基幼馴染みはもう目前だった。
彼自身も事態に気付いたが回避するには距離が近過ぎる──であれば攻撃を放つより先に此方から攻撃を与えて阻害してしまえばいい。
「攻撃します!」
無茶苦茶なことをとも思ったがそれであの距離なら致し方ない選択というもの。地面を力強く蹴り出して跳び上がるダークウルフを目に自分も遅れをとるまいと踏み込み蹴り出して接近。漆黒の雷撃を連続して放てば案の定幼馴染みを守るように半透明の防壁が展開された。構わず後方で長銃を構えたダークファルコが一点のみ狙い定めて弾を撃ち出す。防壁はただ弾を弾くのみだったが次に雷撃を受けて変化を見せる。
びし、と。皹が走り粒が落ちた。しかし防壁に守られた幼馴染みは相変わらず表情のひとつも変えないまま誰でもない誰かを見つめ続けて。
「……よし!」
この防壁は突破できる!
「──────」