最終章-前編-



希望なんてなかった。

何もしなければよかった。


初めから。何も望まなければ。


「いい加減にしろよ!」

一喝したのはその場に居合わせていたロイ。

「望みが絶たれたわけじゃないだろ!」

踏み出す。

「終わってもいないのに」
「楽観的だな」

ロックマンは笑う。

「ならば気の召すまで好きにされるといい」

たじろぐ。

「それも全て脚本シナリオかもしれないが」


ああ。駄目だ。

だってこれは見覚えがある。


これは。

紛れもない絶望の目だ。


「リーダー!」

この声は。

「……スピカ!」

地面を蹴り出して接近を図る。狙う対象はもう既に此方を視界に捉えていて視線を外さない。無垢に開かれた双眸が感情を一切読み取らせずじくじくと胸の奥を刺す。

こんなはずじゃなかったと嘆いているのは誰も同じだろう。歩み向かう先が違おうと胸に誓う正義が異なろうと。それでもこの繋がりだけは弛まないと言葉に出さずとも約束してきた。

だから。

俺がお前の目を覚まさせてやる!
 
 
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