最終章-前編-
未来。この世界は絶望の運命を辿る。
絶望の未来から時間遡行をして現れた少女の忠告に従って自分たちは出来る限りを尽くした。か弱い命を見捨てても。……殺しても。
躊躇いがなかったわけじゃない。未来と天秤に掛けたところで苦悩の雲は晴れなかった。
それでも。
運命を変えられるならば。
それなのに。
「全部、無駄だったってこと」
自嘲気味に吐き捨てる。
「絶望するために戦ってたんだ」
「やめないか」
「今更希望も持てないのに」
塞ぎ込む。
「何をしても何をしなくても」
……もう遅い。
「くくく」
嘲笑うような晴天が眩しい。
「あはははは……っ」
俺たちの正義は何だったんだろう。
「騙されているものとも知らずただただ純粋に正義のつもりで振りかざした剣が手を滑らせて最後。自分の胸に深く突き刺さる。避けようとしてきた運命を自らの手で導くなんて──」
なんて滑稽だろう!
悪の根源に踊らされるだけの駒でしかなかった自分に虫唾が走るどころか笑わせられる。
……これが。
積み重ねてきたものの末路なんて。