最終章-前編-
紅く幾つもの光が煌めいた。
心の臓まで震わせる叫び声に妙な違和感を感じながら次の瞬間彼の者を中心に放たれたのは赤紫色の波動。触れてはいけないと気付きながら回避するには遅く波動は広範囲に渡って放たれ居合わせた全員が洗礼を受ける形となる。
「──ッッ!」
帽子の一部が変色──石化。ぎくりとして当事者であるマリオはその帽子を手に取る。異変はそれだけに留まらずリンクの背負った弓もまたぱらぱらと石粒をこぼして石化してしまう。
「皆、下がれッ!」
「ゆうても範囲広すぎるやろ!」
叫ぶマリオにドンキーが正論を返す。
「目ぇ覚まさせた方が」
「兄ちゃん!」
言い争っている場合ではない。
「ああ……あぁあ……ッ」
声を震わせる少女に気付いたロイが振り向く。
「そ……んな……どうして……」
青ざめた顔で口元を覆う少女は呟く。
「未来を……変えられなかった……!」
嘘。
「どういうことなの……ルキナ」
ふらりと立ち上がった少女ルフレはゆっくりと彼女に歩み寄り肩を触れる。
「ルキナ!」
けれどもう既に彼女は塞ぎ込んでしまったかのようで揺さぶりにも怯えたように応えない。
「やめるんだ、ルフレ」
左腕を庇いながら現れたのはマーク。
「言葉の通りだよ」
「僕たちは操られていたんだ」
シュルクが呟く。
「嘘」
鈍く心臓が鼓動を打つ。
「そんな」
視界が滲む。
「じゃあ私たちは今まで……何の為に……!」