第十二章
眩いばかりの白い光はやがて広範囲を覆った。──創造と破壊の力が混ざり合う。生命を己が栄養とするかの如く吸収して零にする。周辺の草花は一瞬にして枯れ果て大地は旱魃のように酷く干上がった。それが壱の罪。即ち始まり。
そして。
終わりがやってくる。
「、う」
霞む視界にもう一度固く目を瞑って開く。そうして正しく映り込む光景を前にしても尚現実味というものを感じないまま上体を起こして。
……あの時。
確かに狐の野郎がヘマをした。その結果餓鬼は案の定捕らえていた手から逃れて正義厨の所へ無防備で飛び込んでいきやがった。
その後のことは分からない。だが──この状況から察するに想定していた最悪の事態を迎えてしまったってのだけは紛れもない事実だろう。
「……チッ」
通信機器は砂嵐。何も聞こえやしない。
「そうか」
聞こえてきた声に振り向く。
「君は」
投げかけられる視線も全て状況に反して何処か──冷めきっているかのようで。
「ははは」
その少年は自嘲気味に笑う。
「君も覚悟しておいた方がいい」
「……何のことだ」
ひと呼吸置いて紡ぐ。
「最愛のパートナーを失う覚悟だ」
雲ひとつない晴天の昼下がり。
澄んだ空気も。柔らかく吹き抜ける風も。
全てが愛おしいのに。
もう何も届かないのだろう。
創造の蒼と破壊の朱を双眸に宿した──
……絶望の根源には。