第二章-前編-
コーヒーをひと口啜ってカップを小皿に返し、にこりと笑う。
「君に怪我がなくてよかった」
流した。
彼の背景には黄や白といった明るい色の花が咲き、爽やかな笑顔を演出するがそれだってよくよく目を凝らせば、背後でせっせと茶髪の少年が腕に提げたバスケットから花を取り出し、振り撒いているのである。あのビジョンを人力で熟すとは。
「ど、どうも」
ぎこちない笑みを浮かべて席に着く。
「自分としたことが少し取り乱してしまったようだ」
「あはは。少し?」
……何なんだこの空気。
「君のところの隊長くんは随分と」
「はい。おっちょこちょいなんです」
ローブの少女は肩を竦めた。
「隊長って妙なとこ抜けてるんだよね」
ニット帽の少年は頭の後ろに腕を回して呆れ顔。