第十二章
叫ぶ声。遠ざけているのは自分だ。
これは過ちだろうか。
過る思考に足を止めそうになる。
絶望の未来を覆す最後のチャンスだった。
……それでも。
僕は。誰かを犠牲にするくらいなら。
間に合え。いや──間に合う。
これが運命で僕は本当に。
「ルーティ!」
彗星の如く墜落した漆黒の塊が固体との衝突を引き金に眩いばかりの光を生み出す。友を救うべく飛び込んだ少年はその光に包まれながらも不思議と痛みは感じなかった。声も音も現実も何もかもが遠ざかる中で確かな視線を受ける。
「……ロックマン」
体を起こし大きく目を開いて見つめるばかりの彼に温かな微笑みを向けながら。
「おはよう──」
寝坊してしまったんだ。
大切な日に。
ねえ。時間の積み重ねが希望へと繋ぐのなら。
絶望だってまた。