第十二章
まさか。
ぎくりとして起き上がる。品定めをする悪魔が誰に目を付けたなどは分かるはずもない。創造神と破壊神の魂をひとつの器に収めようなど誰であれいずれは負荷に耐えきれず壊れてしまうのだろうがそれを知って敢えて消耗品といった形で特別な条件もなく選び取るのだとしたら。
「ルーティ!」
飛び出そうとしたルーティをフォックスがすかさず肩を掴んで引き止めた。いつの間にか誰も目立った動きはしまいと息を潜めている。
「邪魔しないで!」
声に。身動ぐ影がひとつ。
「……う」
その人は集団より少し離れた所に倒れていた。小さく呻いて意識を取り戻したがまだぼんやりとしているようで直ぐに動けそうもない。
「ほう」
悪魔は笑みを深めたように言う。
「一つ目の器は彼にしよう」
ロックマン──!
「フォックス!」
運命の時が刻一刻と迫る。
「離してよ!」
「お前が行ってどうするんだ!」
「ロックマンを助けるに決まってるでしょ!」
「犠牲になるかもしれないのに!」
ルーティは奥歯を噛み締める。
「他の誰かは犠牲になってもいいの!?」