第十二章



尻目に捉えて正面に向き直り小さく舌打ち。他も同じような状況であるが今回ばかりは構っていられない。墜落の最中鉄球のように重く変貌したハンドルを大きく引いて何とか機首を持ち上げる。地面と平行に保ちつつ今度はルーティが地面に向かって電撃を放ち落下速度を軽減。

然れど地面が迫る。流石にこれ以上はどうにもならないと踏んでルーティも衝撃に備えるべく固く目を瞑り歯を食い縛った。


「──ッあ、……ぐッ……!」


砂煙が舞い上がる。確かに落下速度を軽減させることはできたがそれでも地面に衝突するその衝撃によってルーティの体はいとも簡単に投げ出され地面に打ち付けられてしまう。

それでもあの状況から機転を利かせてよくこの程度で済まされたものだ。

「っ、う」

起き上がろうとしたが刹那鋭く走る痛みに腕を抱えて倒れ込む。打ち所が悪かったというだけならいいが病院の世話にはなりたくない。

「くはははは……ッ!」

疎ましいばかりの笑い声が響き渡る。

「創造神と破壊神の魂が揃った!」

咳き込んで顔を上げる。

「、そんなもの」

マルスが叫ぶ。

「お前のような悪魔に扱えはしない!」
「──勿論だとも」

目を開く。

「だからこそ」

赤黒い光の球が瞬く。

「今度は"器"が必要だ」
 
 
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