第十二章
……そんな。
「間に合わなかった……!?」
計算の限りを尽くしたわけではないがそれでも上手くいくものだと踏んでいた。
高を括って足下を掬われたという話でもないが今現在の状況は恐らくベンゼルの思惑通り──はっきりといって最悪だ。
「くくく」
空に声が響き渡る。
「元より間に合う筈もない」
告げる。
「運命は覆らない」
漆黒の魔方陣が蒼天に展開される。
「絶対に!」
次の瞬間だった。
「うわっ!」
がくんと高度が下がる。
操縦するウルフも何とか機体を安定させようとハンドルを握るがまるで言う事を聞かないまま地面に吸い寄せられるようにして落ちていく。どうやら空にいた全員がこの事態に陥っているらしくルーティは羽にしがみつきながら。
「……ウルフ!」
片手を地面に向かって突き出す。
「機体を……!」