第十二章



嗚呼。

「はああああっ!」

重なる。

「──今だ!」


運命の刻はもうすぐそこに。


「ルーティ!」

タイミングを見計らいウルフェンから飛び降り風を全身に受けながら真下に浮かんだ魔結晶を捉える。程なく頬に青い閃光が駆ければ背後に暗雲が広がり同じように電気を走らせて──今一度目を開き両手を突き出す。その動作に従い光は激しく身を躍らせて暗雲から放たれる。

「くらええええッ!」

轟音と共に魔結晶を突き抜ける雷。粉砕された魔結晶は効力を失って跡形もなく消え失せる。

「よし!」

上空から降下して掬い上げるウルフェンの羽に難なく着地。振り向けばそれが最後のひとつであったらしく青い球体の防壁はやがて音も無く消失──ルーティは思わず声を上げた。が。

「あはははは……ッ!」

煩わしい高笑いが響いて渡る。

「もう遅い!」


ドクン。


「あ……!」

天を仰いだ少年は静かに瞼を閉ざす。その様はあの時創造神たる双子の兄が消失した時と同じ──身体の端から粒子となる。消えていく。

運命なんて。

そんな非情なもので。

「クレイジー様!」
 
 
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