第十二章



救う手立てがないからといってこのまま延々と外周を飛んでいるわけにはいかない──それは分かっている。こうして思考を巡らせている間にもヤツを捕らえた光の鎖が体力ないし神力を奪っていっているのだろう。

「リーダー」

はっと目を開く。

「あれは」

ルーティも思わず声に洩らした。──青い球体の防壁を守るようにして現れたのは群青の光を灯す菱形の人より一回り大きな結晶。それがそれぞれ前後左右と上下にひとつずつ何の前触れもなく現れた。あれが何を示すものなのか知らないが関係がないとまでは断定が出来ない。

「ゼルダ」

襟刳を引いて内側に取り付けた小型の無線機に向かって静かに呼びかける。

「そこから見える?」
「、はい」

地上で待機していたゼルダは頷き菱形の結晶の正体を確かめるべく空へ向かって両手を翳す。瞼を閉ざし意識を集中させること数秒弾かれるようにしてゼルダは目を開くと。

「魔結晶です!」

その名の示す通り魔結晶とは魔力によって作り出された結晶であり様々な役割を果たす。その結晶があれほどの大きさで──しかもこのタイミングで現れたということはあの球体の防壁に何か関与しているはず。事実魔結晶は現在進行系でその内側に強い魔力を渦巻かせながら浮遊している。ルーティはスピカと視線を交える。

「てめえらは右に回れ!」

スピカの指示によりダークフォックスとダークファルコは向かって右へ速度を上げて飛行。

「ゼルダ達はそのまま地上から攻撃を!」

……早くしないと。

「ウルフ、」

気持ちが焦る。

「──振り落とされるなよ!」
 
 
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