第十二章



「ッ全員──目標上空!」
「絶対に阻止しろ!」

ルーティとスピカが口々に叫べば先陣を切るかの如くメタナイトとカービィ、ダークシャドウからはダークメタナイトとダークカービィが力強く地面を蹴り出し剣を構えて飛び立った。

続けざま愛機を呼び出したフォックスとファルコが自動操縦により向かってくるアーウィンに飛び移る。ルーティはウルフを振り返る。

「──僕たちも!」

急かすなとばかりに空を睨み付けた先で煌めく機体を捉える。此方も自動操縦により向かってきた彼の愛機であるウルフェンにタイミングを合わせて飛び移れば容赦ない強風が襲った。

強風に煽られ地面に墜落などとは後にも先にも笑い話にすらならない。ひとつひとつの行動に未来が──運命が掛かっている。

「……!」

邪魔立てをさせるつもりはないらしい。

パルテナとクレイジーを大きく包み込むようにして現れた青い球体の防壁。先行するフォックスとファルコが機関銃を撃ち込むも火花を散らせるだけで傷一つ付く気配もない。と──突然機体が傾くのだから思わずしがみつくような不格好となってしまう。意図を問い質すより早く元いた場所を黒の雷撃が走り抜けて。

「スピカ!」

振り向いた先にはダークウルフの操縦するウルフェンの羽根の上で構える幼馴染みの姿があったが防壁が攻撃を事もなく弾いたのを見届けて不服そうに舌を打って。

「全て悪魔ベンゼルの思惑通りというわけですか」
「ガチでやばいやつじゃん」

ウルフェンの無線機から声が聞こえる。

「どうする? リーダー?」
 
 
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