第十二章
……音が聞こえる。遠く、けれど生々しく。
「う……」
いつから眠っていたのだろう。
何のために。
「未来は変わらない」
響く声が鈍痛を誘った。
「あぐ、」
「愚かな人間たちよ」
吐き気がする。
「運命は繰り返す」
痛い。
「ああぁあ、ああ……ッあ……!」
これまで力なく地面に伏していたフォーエス部隊の面々の体から追い討ちをかけるように力の源であった赤黒い光の玉が抜け出たかと思うと空高く舞い上がった。
ルーティ達が釣られて目で追ってみれば赤黒い光の玉の群れは空中で静止していたパルテナを囲って──彼女の見詰める先には無残にも光の鎖に捕らわれたクレイジーの姿が。
「、解けた!」
足下の魔方陣が失せる。誰かが思わず声に洩らせば一斉に武器を手に改めて空を見上げた。
あれを阻止しなければまずい気がする。
……それだけは!