第十二章
逆転の兆し──が。事態は急変する。
「っ!」
地が揺れると釣られて歌声も思わず止んだ。
直後地面に巨大な青白い魔方陣が浮かび上がり苦しみ呻いていたフォーエス部隊の面々は遂に限界に達して天を仰ぐ。体内から何か引きずり出されるような感覚を与えられながら──
「、ア……アァアアアアッ!」
やがて。
解き放たれる。
「あれは!」
眩く輝く青い光の玉がフォーエス部隊の面々の胸から飛び出して天に昇った。それはこれまで空高い位置でクレイジーと密かに対峙していたパルテナの元へ集まると体内に吸収されて。
「クレイジー様!」
ダークシャドウが叫ぶ。
「目には目を、なんて言うじゃないですか」
オーラのように青白い光を纏ったパルテナは人差し指を唇に当てて微笑する。
「"終わらせてやろう"」
今の声は。
「っ……!」
幾つもの魔方陣を展開させて恐ろしいまでの速度で白い光の剣や槍の群れを放つ。咄嗟に回避の姿勢に移行したが予想以上に追尾精度が高く飛び回るクレイジーに容赦なく襲いかかる。
引き離すべく瞬間移動を繰り返して向き直れば直後衝突を許して爆発を起こした。黒煙に巻かれる中パルテナも目を見張っていたが今度黒い矢印の群れが黒煙の中から飛び出して。
ジグザグと。予測不能な動きを見せながら。