第十二章
「、?」
こつんと頭を跳ねる種。
「こっちや!」
気を取られた次の瞬間殴り飛ばされる。
「……!」
地面を跳ねて転がるシラヌイの元へ駆け付けて睨みつけるモウカ。その一方立ち塞がるようにして立つのは見覚えのある頼もしい仲間の姿。
「ドンキー!」
甲高い金属音が鳴り響く。息が弾む。カムイの猛攻にいい加減のことロイも押されていた。
「、!」
隙を突かれる。防がなくてはまずいと急ぎ構え直したが刹那何を察知したのかカムイは背中に竜の翼を広げると後方へ飛び退いた。直後彼のいた場所を炎の柱が過ぎて思わず振り返る。
「よそ見していると危ないですよ」
炎が途切れて現れたのは。
「……リンク!」
そう。宗教団体の鎮静化に向かったメンバーが駆けつけてきてくれたのだ。
「おにぃ!」
探るまでもなく先程の青白い光基電気を放ったのは彼女だった。目眩しをしている隙にネスとリュカが共同でテレポートを使ってルーティの救出を行なったのだろう。いつもの調子で飛びつくピチカに束の間の安心感を覚える。
「随分とやられたわね」
サムスが傍らに膝をついて包帯を取り出す。
「腕を出して。簡易的なものだけれど」
そうは言えども此処は戦場。厚意は有り難いが突き放すわけにもいかずルーティが不安そうにおろおろと視線を彷徨わせていると。
「──大丈夫だよ!」
ピチカは身を乗り出して言った。
「僕たちにはとっておきがあるんだから!」