第十二章
「──!」
油断。躊躇い。
一撃を躱したが尚も接近し攻撃を仕掛けてくるブラピを相手に防戦を余儀なくされる。頭では分かっているつもりでも割り切れる筈がない。
創造の加護があるといったところで痛覚までは誰も等しく。その力に魅入られ狂わされているというだけで万能ではないのだ。見えない力が壁を作っているというだけで彼らは人間。
非情になれるはずが。
「ッッ!」
懐に潜り込んできたかと思えばフェイント──攻撃を仕掛けないブラピを不審に思うより早く首後ろに鈍い痛みが襲いかかった。そのまま足をかけられ前方に倒れかかる最中手首を掴まれ地面に手酷く手放される。結果として背中から叩きつけられるような格好となり起き上がろうと肘を立てれば目の前に砲口が向けられて。
「分からないな」
ロックマンは冷たく見据える。
「何故、頑なに運命を拒むのか」
音は遠ざかり頭の中にまで声が響いてくる。
「運命は変わらない。細部に至るまで全てあの方の綴る
息が詰まる。
口の中に苦味が広がる。
「逃げたくない」
くっと拳を握り締めて向き合う。
「何度だって立ち向かう」
閃光が跳ねる。
「どんなに守りたい未来だってその為の犠牲にならないと誓った。誰一人欠けることなくこの先に進むって皆で決めたんだ」
だから。
「僕は絶望なんかしない!」