第二章-前編-
「……先日の」
今まさにカップに口をつけようとした、ルーティの肩が小さく跳ねた。
「式典会場襲撃事件について、なんだが」
……朝から気の重くなる話題だな。
だからって、隊員を連れ出してまで話すことだろうか。
「犯人のこと?」
「いや。それはまだ分かっていない」
そりゃそうだ。相手はあのダークシャドウ、影さえあれば身を隠す。
当分のこと分かりはしないだろう。
「……?」
また黙り込んでしまった。
……かと思うと。
ダンッ、とテーブルを叩き立ち上がって。
「すまなかった!」
手を付いたまま、勢いよく頭を下げた。
「……え」
音に驚いて尻込みするような姿勢となっていたルーティ。
「えええぇええっ!?」
遅れて、まさかの展開に声を上げた。