第十二章
この声が届くのなら──
「っ!」
陰り危険を察知して速度を緩めれば阻むように巨大な足が上空より目前に踏み下ろされる。それがベヨネッタの契約する魔人マダム・バタフライのものだと気付いた頃には今度は視覚から巨大な拳による一撃が襲いかかって。
「あぐ……っ!」
まるで叩きつけられるように地面を跳ねながら転がるも高く跳ねたタイミングで空中で体勢を立て直し頬に閃光を走らせる。刹那ジェット機の如く足の裏から電撃を放出させてルーティは三度猛スピードでロックマンへの接近を図る。
容赦なく向けられる砲口。青白い光がその奥で凝縮されていく。肉眼には確かに捉えていたがルーティは見据えて軌道を変更しない。
「……!」
その意図には直ぐに気付いた。離れた場所から反射板を展開させる小型機がファルコによって蹴り出されたのだ。しかし躊躇わず冷静な目の色で捉えエネルギー弾を撃ち出す。エネルギー弾は案の定展開された反射板によって呆気なく跳ね返された。ルーティもエネルギー弾を盾に引き続き接近を試みる。全ては紅い目を擡げる友人を悪夢から解き放つため。
「ロックマン!」
けれど。
「ルーティ!」
はっと目を開いた。
ロックマンの前に現れたのは──ミカゲ。緩やかな水纏う小刀を構える彼は今更軌道変更など利くはずもない猛スピードで突っ込むその寸刻さえも逃さず斬り捨てる企みであるのだろう。
距離、数センチと迫った頃抜刀が行われようとミカゲが体勢低く身構えた。